ゴールデンウィークに海外旅行をした方も多いのではないでしょうか。ゴールデンウィークに海外旅行をした人が多かったため、夏のシーズンの海外旅行の費用がちょっとお得なんじゃないかなんて話もあるようですね。
海外旅行を計画する際、ホテルや行き先だけじゃなく、病気についても調べたりしていますか?楽しいことだけじゃなく、危険なこともしっかり調べて、元気に日本に帰ってくるのも大切なことですよね。
海外渡航時の病気のリスク
日本のニュースではありませんが、BBCニュースで残念なニュースを読みました。
ノルウェーの女性がフィリピン旅行の際、子犬に噛まれ、帰国後に狂犬病を発病し、亡くなってしまったというニュースです。ノルウェーでは、約200年ぶりに人が感染したということでも大きなニュースになっているようです。
ノルウェーのある北欧や私の住む日本では、狂犬病はないとされていますが、東南アジアや南米、アフリカなどでは普通にある病気です。
狂犬病に限らず、日本で生活をしている限りは接することのない病気も海外旅行中に接触してしまい、感染をしてしまうこともあります。日本にもある感染症でも、旅行中に疲れてしまっていたりで、発症してしまうこともあるかもしれませんよね。
そのため、1カ月以上の長期間の海外滞在の場合は予防接種をすることが推奨されています。ただ、旅先や旅先ですることによっては、短期の滞在でも、予防接種をした方が良い場合もあります。
海外渡航のための予防接種
海外渡航のための予防接種には、大きく分けて2つあります。
入国時に予防接種証明書が必要な場合
アフリカや南米の一部では、入国時に黄熱の「予防接種証明書」が必要です。流行している国から入国する場合や乗り継ぎだけの場合でも予防接種証明書が必要なことがあります。
この場合、あまりふらりと行く場所ではないので、皆さんご存知かと思いますが。
感染症から自分自身を守り、周囲の人も守るため
日本にはない感染症や日本より感染のリスクが高くなっている感染症から、自分自身を守るため、また、周囲の人への二次感染を防止するために予防接種をすることが大切なのです。
どんな予防接種があるの?
渡航先、渡航期間、渡航方法やご自身の年齢、体調、予防接種歴などにより必要な予防接種は異なります。
たとえば、現地の食べ物や飲み物をたくさん摂る場合、途上国へ行く場合、動物が多くいる場所へ行く場合などは短期であっても予防接種をした方がいいこともあります。
状況に応じて、予防接種を検討してみてはいかがでしょう?今回は代表的な予防接種をいくつか案内します。
狂犬病
狂犬病は発病すれば、100%が死に至る病気です。日本や北欧、西欧、オセアニアなど一部を除く地域では、感染の可能性があります。
「犬」となっていますが、哺乳類の多くが感染源となる可能性があります。また、「噛まれる」と感染することは知られていますが、唾液が感染源のため、目や口、傷口に唾液が触れると感染の可能性が出てしまいます。
感染の可能性のある地域に行く場合、野良犬だけでなく、動物に接触する機会がある場合、病院が近くにない秘境に行く場合などは狂犬病の予防接種をすることをおすすめします。
予防接種をする場合は、4週間隔で2回接種し、さらに6カ月から12カ月後に3回目を接種します。
予防接種をしないで感染の可能性のある地域に行く場合は、哺乳類に近寄らないことを徹底しましょう。犬猫などの動物が好きでも、心を鬼にして近寄らない。飼い犬などの場合も、その犬が確実に予防接種を受けていない場合、外飼いの場合は近寄ってはいけません。
うっかり犬などと遊んでしまい、噛まれてしまった場合は、「暴露後予防接種」という予防接種があります。また、哺乳類の唾液に触れてしまった場合も暴露後予防接種をしておいた方が良いでしょう。(狂犬病の予防接種をしている場合も、暴露後予防接種は必要です)
狂犬病の予防接種をしていない人の暴露後予防接種は、0日(かまれた日)、3日、7日、14日、30日、90日の6回のワクチン接種が必要です。
破傷風
破傷風は、海外に限らず日本でも発生することがある病気です。
「予防接種してるよ!」って人も多いと思います。日本では、(2種、3種、4種)混合ワクチンに含まれているため、多くの人が接種しています。ただ、この免疫は10年程度しか持ちません。
たとえば、12歳頃に3種混合ワクチンを受けた場合は、20代前半であれば問題ありませんが、それ以降の年代の方は、再度予防接種をすることを検討した方が良いのです。
途上国へ行く場合、アウトドアを予定している場合、冒険旅行をする場合は予防接種をした方が良いでしょう。1回の接種で10年ほどの免疫がつきますので、日本でも登山などを楽しむ方はした方がよい予防接種ですね。
日本脳炎
日本脳炎は、日本脳炎ウイルスを保有する蚊に刺されることにより起こる急性脳炎です。重篤なもので、死亡率が高く、後遺症が残ることも多い病気です。日本でも毎年10名弱の方が発症しています。
東アジア・南アジア・東南アジアなどへ旅行される方は、予防接種をすることが推奨されています。ワクチンは、1~4週間間隔で2回接種し、1年後追加接種を1回します。その後は、1回の接種で4~5年間有効な免疫がつきます。
日本脳炎に限らず、数年前に日本でも流行したデング熱も蚊が媒介する病気だったりと、蚊は病気を持っています。蚊に刺されないことも大切ですので、蚊よけグッズを持って旅をすることも大切ですね。(フィンランドも蚊がいっぱいいますよ…)
A型肝炎
A型肝炎は、水や氷、野菜や果物、魚介類などの食べ物から感染する病気です。アジア・アフリカ・中南米に多く、感染した場合は発熱、倦怠感、嘔吐などが起こり、重症な場合は1カ月以上入院することもあります。
流行地域の旅先で現地の食生活を楽しもうという方は、予防接種をした方が良いですね。特に60歳以下の方は、免疫がない人が多いため、接種がオススメです。
ワクチンは2~4週間隔で2回接種します。6か月以上滞在するのであれば6か月目にもう1回接種すると約5年間は効果が持つとされています。
滞在国に応じた必要な予防接種を知りたい!
上記の予防接種がどこの国に行くときに必要なの?自分が行きたい国で必要な予防接種って何?って場合は、厚生労働省検疫所のサイトを確認しましょう。
流行状況や予防方法だけでなく、体調が悪くなった場合の対応などが細かく書かれています。
他に受けておくべき予防接種
海外旅行をするというきっかけによる予防接種も良いのですが、日本で生活していく上でも予防接種は大切です。最近では副作用が怖いという理由で予防接種を嫌がる人が多いようですが、副作用より感染症の罹患率の方が高いことを認識して、受けておくべき予防接種は必ず受けておきましょう。
MR(麻しん風しん混合)ワクチン
最近、麻しん(はしか)や風しんのニュースをよく見ますよね。この病気も、予防接種により麻しんや風しんにかかりにくくなります。
妊婦の方が風しんにかかってしまうと「先天性風しん症候群」という病気を持って生まれてしまうことがあるため、成人の方も予防接種をすることが推奨されています。
私は、母の兄弟が麻しんで多く亡くなっているため、子供の頃にしっかり接種しています。現在も抗体を持っていることを確認しています。海外でも恐れられているこの病気の媒介者にならないためにも、ご自身の抗体状況を調べておきましょうね。
でも予防接種って迷うよね…
急に旅に出よう、出張になったよという場合、そもそも予防接種をしている時間がない場合もありますよね。この場合は、できる限り病気の元に近寄らない、接触しないことが大切です。
また、接触してしまった後の対処方法を知っておく、万が一、発病した場合の対応方法を知っておくことも大切です。知識によって、自分や家族や友人を守り、周辺の人への二次感染を防ぐこともできます。
厚生労働省検疫所のサイトでは、これらのことが丁寧にわかりやすくまとまっています。海外旅行を考えている方は、サイトをよく読んで、自分を守りましょう。
過去に読んだことあるよって方、滞在国に何度も行っているからという方も、行く前に滞在国の最新の状況を確認することも大切です。
「お家に帰るまでが遠足です」と子供の頃から言われてきていると思いますが、大人の旅も同じです。楽しむための旅なので、健康で元気に怪我なく帰ってくることがとても大切ですよね。
この夏に海外へ行こうと思っている方は、安全と健康に気をつけて、楽しんできてくださいね。